市販カヤックリフターの定番と言えばinnoでしょうか? これ付けておけば、車載時にカヤックがずり落ちてドアミラーを壊すようなトラブルを回避できます。
これいいな!と思ったものの、ウチの車のベースキャリアはスーリーのウイングバーで、装着できるか分かりません・・・。仮に装着できても100%自己責任。買うのを躊躇して、今まではイレクターパイプをストラップベルトでベースキャリアに仮止めしカヤックを積み降ろししていました。ちなみにウチのタンデムカヤックは重さが44kgあるため、イレクターパイプの内部にもう1本ステンレスパイプを入れて補強してあります。
カヤックを積んだらイレクターは外して車内に格納して出発。到着したらまたベルトでイレクターを仮止めしてカヤックを降ろすという、地味に面倒な作業が必要です。しかも、先日自宅でカヤックをイレクターに載せたところ、ベルトが緩んでキャリアからイレクターが勢いよく脱落しドアパンチするという悲劇が発生。ちゃんとしたリフターを付けようと決心した次第です。
ググるとinnoのリフターでもスーリーのウイングバーを上下から挟んで付けることは出来る模様。ただ、せっかくウイングバーにはアタッチメント用のスロットがあるので、このスロットにTボルトを入れてリフターを取り付けたいなぁと思います。その方が見た目にもスマートで空気抵抗も低いはず。
innoのリフターをスロットで固定する方法が無いか色々考えましたが良い方法が見つからず、自分でカヤックリフターを作ることに決めました。角パイプ、ボルト、ナット、ベルトを購入して、樹脂本体は3Dプリンターで自作です。
あれこれ試行錯誤しながら作ったためトータルコストはinno買った方が安かったかもしれませんが、大事なのはスロットへの収まりの良さなので気にしないことにします。
備忘のための制作過程は追って書くことにして、2ケ月近くかかって完成したカヤックリフターがこちら。まずは横から見たところ。
ウイングバーにTボルト(前2本、後ろ2本)を入れて自作リフターを取り付け。カヤックが載るアルミ角パイプには保護のため幅86cmのキャリアパッドを装着しました。角パイプはリアゲートを開けても干渉しない長さでカット。innoのリフターのように可動式アームもあり、走行時には可動式アームはベルトでパッドに固定します。
次は前からみたところ(グレーの四角いのがリフター本体)。空気抵抗を減らすため細身にしつつも、可動式アームを開いてカヤックの荷重が掛かっても壊れない本体幅を確保。各部の角には丸みを持たせてカヤックを削らないようにしています。
また、カヤック積載時にカヤックが前方にズレ落ちない本体高さも確保しました。リフターは前後ともウイングバーのスロットにてTボルト2本+ナットで固定しているため、リフターがベースキャリアのフット上にあっても固定できます。この点はinnoには無いポイントかも。
撮影前に高速道路でテストしたところ、気になるような風切り音は出ませんでした。良かったー。
可動式アームを開いたところ。試作時にグレーの本体樹脂にヒビが見えたため、3か所にステンレス棒を入れて本体を補強しています。アーム接合部分の強度については、重量44kgのタンデムカヤックはもちろん、アームに自分が寄り掛かっても問題ありませんでした。
さて、時間を戻して制作ステップです。まず最初はTスロット用のTボルト&ナットを買いました。スーリーのTボルトは価格が高いのと必要以上に長いので、inno製を購入。お値段1800円くらい。
ウイングバーのスロットにも通りました。さっそく自己責任の領域に突入です。このTボルトの長さを考慮した本体パーツを3Dプリンターで制作し、アルミ角パイプと組み合わせます。
アルミ角パイプは25mm×25mm厚さ2mm長さ2mのものをホームセンターで購入。厚さが2mmあれば大丈夫そうですが、強度不足を感じたら内部に細い角パイプを追加して補強します。余談ですが、アルミパイプには「生材」と「アルマイト処理」したものがあることを初めて知りました・・・。生材の方が安いですが、今回は海で使うので表面処理されたアルマイトを使用します。お値段3000円くらい。
レシプロソーでカヤックを載せるパイプと可動式アームのパイプに切り分けて、さらにM8のTボルトに合わせてパイプの端に3mm~8.5mmまで数本のドリルで穴を開けました。写ってませんがバイス、ポンチ、切削油、ヤスリ、身体の保護用具などなど使ってます。
メインのパイプと可動式アームのパイプをM8×80mmのボルトで繋ぎます。M6でも大丈夫かも。実際には上下のパイプはキャリアパッドが入る分だけ離して繋ぎます。ここまでは割とスムーズに制作が進みました。
最大の難関はリフター前部の本体樹脂の制作。3D-CADで設計します。innoのリフターを持っていないためゼロベースで設計です。試作品は100%修正が発生すると予想されるので普段使わない材料で制作します。
中央の穴には上下パイプを繋ぐボルトを通しします。両サイドの羽みたいな部分の穴にはTボルトを貫通させてナットで固定します。写真手前側が車両前方になりますが、空気抵抗が大きそうなので次のバージョンでは左右を少し絞ることにします。
横向きに倒したところ。カヤックを載せる角パイプは画像右奥の四角い凸に差し込みます。可動式アームは画像左のスペースに配置します。上下パイプの間隔はキャリパッドの厚み分のため、もう少し間隔が必要そう。
3Dプリンターはこんな感じに樹脂を積層していきます。このパーツの制作時間、およそ18時間! 寝る前にセットすると翌日の夕方ころに完成するのですが、改良点が見つかる度に18時間掛けて制作することを繰り返しました・・・。(その2に続く)
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